人形マニアのメモ帳

球体関節人形について思いついた諸々を記すブログ

三浦悦子 トルソーについて

トルソーのシリーズは作風の大きな変革がある。

一つは男性は男性らしくなり、成人は成人らしくなった。もう一つはテーマが明るくなった。

 

以前の作品だと少年の人形でも、かなり中性的で胸や股間の造形でようやく男だと分かるものばかりであった。

それがトルソーでは明確に少年は少年らしくなり、また意図的に避けていたとすら思える成人男性の容貌をもつ作品もある。

 

女性の作品については、時期により想定される年齢や顔の柔らかさが変化するので簡単には語れないが、やはり設定された年齢相応の顔立ちがより意識されているのではないだろうか?

 

また、オブジェとの融合というお馴染みの造形にしても、以前なら医療器具のような非日常に存在する物をモチーフに利用していたのに、今シリーズでは船や港のイメージや働く人々という日常そのものをモチーフにしている。

 

過去作が異端性を持つ自己のイメージや身体を受け入れる、あるいは認めて貰う儀式としての作品のように思え、近作のトルソーは自身の中に普通のもの日常のものを受け入れる儀式としての作品だと思える。

三浦悦子がそのように意図して造形したのかは分からないが、私にはそう見える。