人形マニアのメモ帳

球体関節人形について思いついた諸々を記すブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

三浦悦子 トルソーについて

トルソーのシリーズは作風の大きな変革がある。 一つは男性は男性らしくなり、成人は成人らしくなった。もう一つはテーマが明るくなった。 以前の作品だと少年の人形でも、かなり中性的で胸や股間の造形でようやく男だと分かるものばかりであった。 それがト…

三浦悦子作品についての覚え書き

イメージのシームレスな連続性を放棄しつつ、それでいて違和感なく調和した造形となる。これこそが三浦悦子作品の圧倒的なオリジナリティの源泉ではないかと思う。 「死の金月」を例にとると、上半身や左手の硬くその場に留まるような死体のイメージ、相反す…

「小鳥たち」について(続き)

前回よりも確度が低いように思えた考察、私の感情的な判断が強めな部分を前回の続きとして積み増してゆく。 中川多理の人形を知った以降の「小鳥たち、その春の廃園の」からの「小鳥たち」は山尾悠子にとって、ナラティブベースベースドメディシンとしての物…

「小鳥たち」について

山尾悠子の短編、それに影響を受けて制作された中川多理の人形、その人形に影響を受けた続編、その続編を受けて制作される人形と、相互に影響を与えあい1冊の書籍となった「小鳥たち」について。 これも人形語りの一環と考えているので、中川多理が人形作品…